結局授業中そわそわしっぱなしで
…なんか女々しいかも、俺
経験したことがあるはずの状況なのに
どうしてか、こんなにも心が騒ぐ
こんなんじゃ、部活だって集中できないだろうな
…
お昼ご飯の時間になって
つい、教室を飛び出した
伊織のクラスに行きかけて、やめた
まだこの感じを味わいたかったからかもしれないし
告白じゃない、なんて事実を
もしかして知ってしまう
ということが怖かったからかもしれない
向かうは一つ上の先輩のフロア
つまりは2年生
李亜と、彼方の学年のクラス
…
「彼方、今日部活休む」
彼方を無理やり教室から引っ張り出して
廊下で並んで話した
「あ、そう」
「…怒らないの?理由も入ってないのにさ」
ちょっと、拍子抜けだ
後輩には厳しめの先輩なのに
「なに、怒られたいの?」
「うーん…」
「悩むなよ」
淡々と、でも楽しそうに彼方は言葉を返す
気をかけなくていい、という点ですごく彼方とは話しやすい
相性がいいのかもしれない
「そわそわしすぎ」
「は⁈」
急に
彼方はこちらも見ずに指摘してきた
「落ち着けよ」
「落ち着いてるよ!」
「だったら揺れるな。ちゃんと立て」
そう言われて、ぴしりと背筋を伸ばしてみる
でも少し経って
「だからそわそわすんなって」
という彼方の指摘が再三入った
俺、そんなに落ち着いてないのか
そんなにわかりやすく出てる?
「なんかあるのか?女?」
「そうじゃ、ない、よ?
…いえ、そうです。女の子のことです。」
ごまかそうと思ったけれど、
彼方の目力には逆らえなかった
でも、彼方ならいいアドバイス
くれたりするんじゃないか?

