今日ほど自分の運動神経の悪さを呪った日はないと思う


早く湊に追いつきたくても体は鉛みたいに重くて前に進まない


朝の、あの体の軽さはどこにいっちゃったんだろう


遠くの方に湊の背中が見える


いつもは頼もしく見える背中なのに、
寂しそうに見えた


…このままじゃ追いつけない


そう思った時、なぜか湊が立ち止まった


チャンス!


少し人が周りにいたけれど、頑張れわたしの声!


「…み、湊!まって!」


なんとか声が届いて、湊がこちらを振り向いた


「あ、れ…伊織?」


湊がいるところまで行くのに少し時間はかかったけど、


「や、…やっと、話せる、ね…」


肩で息をしながら、なんとか湊に追いついた


「…優里から、なんか聞いた…?」
「…うん。わたしを避けてた理由も聞いた。」


そっか、と湊はひと息ついて
ガバッと頭を下げた


「ごめん!…ほんと、わたし、自分勝手だった!


勝手に嫉妬して、勝手に避けて…


伊織が空と仲良くなるために、すごく頑張ってるの知ってるのに…」


「じゃあ、お互い様だね」


湊が、びっくりした顔でこちらをみた


だって、そう思うんだ


「少し前に、わたし落ち込んでた時、あったでしょ?
そのとき、湊にわたし、自分勝手に迷惑かけて、心配させた


だから、これでおあいこ、だね」


湊が、泣きそうな顔して抱きついてくる


「伊織〜〜!!」


背の高い湊が、背の低いわたしに抱きつくと、それはもう大変



でも、嬉しかった
ちゃんとまた話せて