そしてふたつめ
湊のことだ
わたしのデートの次の日から、湊はずっとわたしを避けている
…そう見えるだけかも知れないけれど
明らかに、会話の量が 減ってしまった
そして、2週間
湊はずっとヤケ食いをしていて、購買のパンをほとんど食べ尽くしている
…これは、早く解決したい
わたしになにか悪いところがあったなら、早くそれを治したい
わだかまりは早めに治すが一番
湊は大事な友達なんだから
…とか言いつつも、正面からいけないいくじなしなわたしは優里を頼ることにした
「優里、湊にわたし何か悪いことしたかなぁ…?」
放課後、2人が部活に行っちゃう前に優里だけ廊下に呼び出して聞いてみた
わたしと、湊と優里とは幼稚園からの幼馴染だけど
湊と優里は生まれた時からいつも一緒
親同士ももともと仲がいい
だから、湊が喧嘩した時も、何かあった時も、慰めてたり話を聞くお母さんポジションはいつも優里だった
優里は湊の事をなんでもわかってる
それはなんだか羨ましくもあったりする
「…そうじゃないわよ。あれはね、失恋よ、失恋。」
「…へ⁈」
湊が、失恋…?
相手は恐らく…先輩だ
「それ、わたしが聞いてよかったのかな…?」
「湊が教えていいって言ってたもの。
それに、伊織じゃなかったら言ってないわよ」
…信用してくれているんだ
でも、なんでそれと、避けていることが繋がるのかわからない
「よーするに、幸せそうな伊織を見てると辛いんだってさ。
ずるいって思っちゃうんだよきっと。
自分もこうなりたかった、って。
でもそんなこと思っちゃう自分が嫌で、
優しい伊織に申し訳なくて
避けてたんだって。」
ショックだった
この2週間、たしかにわたしは浮ついてた
湊の気持ちを知らなかったにしても、結果的にわたしは湊を傷つけてしまった
湊の立場に自分が立ったら、同じことを思うとおもう
ごめん、って謝るのは違うと思う
でも、ちゃんと湊と話がしたかった
「…湊と話してくる」
「うん、それがいいと思う。
…さっき教室出てったから、体育館に向かってるんじゃない?」
ありがと、とつぶやいてわたしは走り出す
「がんばれ」って、優里の声が背中を押した

