「どうすれば、つぐもはボクのことだけを考えてくれる?
どうすればつぐもはボクのことだけを想ってくれる?

ボクはキミのことを、こんなにも深く想っているのに……」



見下ろすようにわたしを見ている黒曜の瞳は昏い。


底が見えないぐらいのその色に、ぞくりとしたものが走る。



「壊して、壊して……原型がわからなくなるぐらいぐちゃぐちゃにして。
ボクという一つから始める。
ボクだけの世界から始める。
それだけじゃぁ、足りなかったの?」



感情の見えない顔で、その声と、わたしに触れる手が酷く冷たく優しい。



「それなら次は、どれだけキミを壊せばいい?
それこそ全てを砂塵に変える勢いで、キミを滅茶苦茶にすればいいの?」



不意に伸ばされた右手は、わたしではなくテーブルに向かった。


黒い薔薇が、彼の手の中でくしゃりと歪んだ。



「あぁ……でもまた一からやり直すと、今まで過ごしてきたボクとの時間も壊れてしまうのかな」



はらり、はらり



黒い花弁が彼の手から落ちる。


それは白いベッドに明瞭に色をつけた。