黒曜が腰をかけたせいで、わたしの乗るベッドがギシリと音をたてる。
「ボクのいない間、寂しくなかった?
どうしても抜けられなかったんだ。ごめんね」
髪や頬に触れる彼の体温を感じながらわたしは首を振った。
「黒曜には、仕事があるから……大切なときはそっちに行って下さい。
わたしは大丈夫ですよ」
ひんやりと心地よい温もりに一瞬目を閉じてから彼を見つめた。
漆黒の瞳が細められていて、どこか穏やかな笑みが浮かんでいる。
たったそれだけなのに、黒曜から溢れる蠱惑的な雰囲気が濃くなった。
「つぐもは優しいね。
キミはいつもそうやってボクのことを考えてくれる。
愛しくて愛しくて堪らないよ。
いつかこの想いが溢れだして、どうにかなってしまいそうだ」
頬から首筋を伝い、肩、腕となぞられて彼はわたしの手を取った。