体が揺れるたびにベッドが軋み、薔薇の花弁が存在を主張するかのように舞う。
あぁ……わたしは確かに壊されてしまったのだろう。
他でもない、彼の手によって。
黒曜と出会ったあの日に、わたしの日常は奪われた。
家族を、友を、愛する人をその手にかけて、彼はわたしを手に入れた。
体を銀の鎖で縛りつけ、心を彼の愛という鎖でからめとった。
泣いても叫んでも、彼はわたしをその腕に閉じ込めて。
わたしはひたすらに泣いて、ナイテ、鳴いて、啼いて……哭き続けた。
心も体もぐちゃぐちゃに壊されて、絶望にその身を落としたわたしに、黒曜は優しく手を伸ばし、わたしはその手をとった。
わたしの世界はこの部屋の中の、この空間だけ。
与えられる全ては彼だけ。
今わたしにあるのは彼だけで、わたしの中に存在するのは黒曜への歪んだ、狂った愛だけ。
わたしの全ては、彼そのものだ。


