声をあげる間もなく、彼の手によってわたしの服は引き裂かれる。


素肌に感じた冷たい体温に体が震え、溢れた声は彼の口の中に吸い込まれていった。



むせかえるほど強い黒曜の香り。


わたしを魅了する、美しい薔薇の香り。



体のあちこちで感じる彼に、わたしの息は次第に乱れていく。


それは黒曜も同じで、彼の乱れた吐息が体にかかり、触れた唇から甘い痛みが広がっていく。


体を擽るようになぞる舌の感触に身を捩れば、それを赦さないというように、手足の鎖が音を立てる。



「つぐも…ボクの名前を呼んで……」



耳元で囁かれた熱を含む声に、瞼を上げて黒曜を見る。



「こ、くよ……っ」


「もっと……」



自分から漏れる淫らな声を聞きながら、わたしは言われた通りに彼の名前を呼ぶ。



「こく、よぉ……っ」



滲んだ視界の中、黒曜がゆるりと口元を上げた。


昏く狂った光が、彼の瞳の中でキラリと輝く。



「つぐも……ボクを感じて。
ボクで、満たして…っ」


「んあぁ……っ!!」



ズンと体に走った衝撃に声をあげれば、彼はわたしの口を塞いで、更に自分という存在を刻みこんでいく。