後悔しても、彼は戻ってこないのに
あの頃は彼を毎日探して泣いていた。
「奈々は今、好きな人とか居ないの?」
いつの間にか過去を振り返っていたようで、私はハッとする。
「…いるよ。」
美紅には話して居ない過去。
私の好きな人はね、高校生の頃から変わって居ないの。
私が傷つけて、私が自分で無くして、今でも無意識に探し続けている人。
「えー?!誰よっ!」
「秘密。」
そう言ってクスリと笑った時、フワリとあの人の香りがした。
反射的に振り返っても人混みが絶えなくて、
探したって無駄だと気づかされる。
メニュー