「おい!琴葉、起きろ!やっと会えたんだ。このまま、またお別れかよ!」
看護婦も声をかけてる。
『頭が見えてきたよ。あと一息』
「琴葉。頑張れ!」
琴葉の腕に力が入る。
『そのまま!頑張って!」
琴葉は何回も意識を失った。
気が遠くなるような長い時間。
いや、ほんとはたった数十分だったかもしれない。
琴葉の辛そうな顔を見たくなくて目を逸らしかけた時。
「…ふぇ、ぎゃぁぁぁあ!」
「うま…れた?」
看護婦が俺のところに連れてくる。
「女の子ですよ。首を支えて抱っ子してあげて下さい。」
初めて抱いた我が子は暖かくてシワシワで、でも、めっちゃ可愛かった。

