宇宙で1番好きな人




自分が見えるもの全てがキモい。



ウザい。


何もかも壊れればいいのに。




そんな言葉が頭から離れない日々。

兄貴たちにもたくさん心配かけた。





特に夏兄。







小町のことで壊れた俺は女で遊んでる夏兄が嫌いだった。大嫌いだった。


春兄も秋兄も恋愛にはすごい悩んでたときがあった。

でも夏兄は


本命の人なんかきっといなくて

女の気持ち分かってなくて

毎日毎日

甘い言葉をかけて

遊んでた




そんな夏兄が許せなくて



俺の気持ちなんかわかるわけないだろ



その一言を



何回も何回も



頭の中で繰り返してた








放課後。


他校生に絡まれて口喧嘩をしていると





「そいつ、俺の弟だから。返してくんない?」



…は?夏兄…?





「んだよ、小西の兄貴かよ

なに?お前は兄貴に力借りようってか?


ふざけてんじゃねぇぞコラ!」




『ちげぇよ。
おい夏兄!!!!!

早くどっか行けよ』





「は?嫌だし」

何言ってんのこいつ…

意味わかんねぇし





「コラー!

君たち何してるんだ!
今すぐやめなさい!!!!」



げっ雷ジジイ!


あ、雷ジジイ=近所のおじさんね
ホントうるせぇんだよ、あのおっさん。




「おい、逃げるぞ」



んだよ、大人が来たら逃げんのかよ


ただのカスじゃん。




「大丈夫かよ、冬樹」

げっ雷ジジイどころじゃねぇし




『ふざけんなよ
勝手な兄貴ヅラしてんじゃねぇよ』





「だって俺、冬樹の兄貴だし」


何こいつ…意味不明


『ああ"?!意味わかんねぇし!
手だししてんじゃねぇよ』



「お前俺に恨みがあるんだろ

殴れば?蹴れば?病院送りにすれば?


それでお前の気が晴れんなら何でもしろよ。」


…………














何してんだよ俺…








ふっと我に帰ると目の前には


倒れてる夏兄がいた。




「っつぅ…いってぇなぁ冬樹ー」




『え…

これ…俺がやった…?』




「覚えてねぇのー?
お前に殴ればー?って言ったらお前ホントに殴ってきてさー」





………マジかよ…






『ごめん…』









全てが夏兄への恨みだったかと言うとそうじゃない。







小町への想いと夏兄の恋愛の仕方が重なって夏兄にあたった。





俺…最低だ…



夏兄は悪くない。



悪くないのに勝手に巻き込んだのは俺だ





八つ当たりっていうんだろうな…











夏兄は怒らなかった。







ただ真っすぐ俺を見て





「帰るぞ。冬樹。」






笑顔で言ってくれた。





その夏兄の優しさと


これから先の不安が


まざってまざって


必死にもがいて


それでも結果は出なかった。




夏兄みたいに俺が優しかったら



茂田みたいに小町のこと知れてたら


俺が小町のこと好きにならなかったら





こんなことにはならなかったのに。



そんな気持ちを全部含めて思った。





俺が間違ってたんだ…



涙が出てくる。


止まらない。







「泣きたいなら好きなだけ泣けよ。


今なら許してやるから。」





夏兄…。







『…っせーよ…』






涙ながらもやっと出た言葉、






『ありがとう…夏兄…』







「冬樹に涙は似合わねーよ」










夏兄に救われた俺は授業にも出るようになったし、ケンカもしなくなった。




小町を好きになったことは今も少し後悔してる。



あの噂を忘れられたわけじゃないし、楽しいことばかりじゃない。




嫉妬だってそれなりにするし。






でもな、もう自分の気持ちをごまかすのは嫌なんだ。


正直に生きていくって決めたんだ。