『あのね、凌君』
『ん??』
『凌君のお母さんとお父さんは??』
『俺は…』

難しく考え込む凌君。

『父さんとは血が繋がってないけど、ちゃんといるよ』

凌君は毎日施設に来てくれた。

『そっか』

この施設の隣には大きな病院がある。

その病院は凌君のお父さんが建てた病院だった。

『俺さ、昔から母さんが体弱くてそれで俺、少しでも楽させたくて』
『…うん』
『そこの病院継ぐんだ』
『そっか』
『ま、俺の話はいいか』
『えー』
『お前は??』
『え??』
『歩の夢』
『…私は…』
『うん??』
『将来は、いい旦那さんと結婚するっ』
『ははっ、マジかよ。俺みたいな??』

爆笑する凌君。

『べっつにーぃ』
『…そっか』
『で、子供は…私みたいな思いをさせたくないな』
『…あのさ、歩』
『んー??』
『言いたくないだろうけど…なにがあったんだよ』
『…えっ、と…』
『いや、言いたくねーならいいんだ』
『そんなことないよ…あのね、』
『うん』
『私、捨てられたんだ。きっと』

何度も死のうと思った。

だけど今は凌君がいるから。

そんなこと思わないようになったよ。