休み時間。友達がいないので、読書をした。いや、何あっさり言っちゃてんの、私。事実だけどさぁ。

今読んでるのは、『泥棒は名探偵』とゆうタイトルの、分厚い本。
何となく手に取った本だけど、読んでみたらすっごく面白くて、何回も読み返している。
いい忘れたけど、中学生です。うん、遅すぎだね。
せっかくだから、自己紹介しよう。急だけど。
合川美玲、14歳。中学3年生で、もう少しで卒業。残りの時間、平和に過ごしたい。
友達はいない(勿論彼氏も)。
見た目は、背が小さいせいか、時々小学生に間違われる。
見た目で判断してはいけないとはこのことだね。
うん、このくらいでいいだろうか。
読者の皆さんも退屈してそうな気がするし。
まだ話せるけどね。

さて、待ちに待った(いや、待ってない)放課後。
職員室の前で立ち尽くす。
放課後ですねぇ。怒られますねぇ。
ドア越しで先生が見てるよ。おいでおいでしてるし。
行くしかないか。
どうか、そんな怒られませんように。
そんな怒られませんように、そんな怒られませんように。
そう祈りながら、職員室のドアを開ける。

うん、怒られました。それはもう、ひどく。
ため息をつきながら歩いてると、
「………?」
背中に視線を感じる。
振り返る、が誰もいない。
今の視線はなんだろう?
と思ってると、
「にゃー」
と、足元から声がした。いや、鳴き声がした。
そこには、真っ黒な猫がいて、こちらを見上げてる。
え、猫?可愛いけど、確か黒い猫って不幸を呼ぶってママが言ってた。
うん、見なかったことにしよう。
ただでさえ不幸なのに、これ以上不幸になりたくない。
よし、無視しよう。
再び歩き出すと、
「いや、無視かよ!?」
と声がした。
振り返るが、今ここには私と猫しかいない。
猫が喋るわけないし…。
「ねぇ、猫ちゃん。今喋ったの、猫ちゃんかな?」
「…に、にやぁ?」
焦ってる。猫が焦ってるとこ初めて見た。これは貴重だ。
「私合川美玲。猫ちゃんは?」
猫ちゃん、首を傾げる。
「…おい、そこのブス猫」
「なんだと、てめぇ!」
喋った!?ハッキリと喋った!
いやいやいやいや、なんで喋れるんだ?
普通は喋れないよね?
「喋れるんだ?」
「にやぁ?」
いや、もう遅いよね。さっきバリバリ喋ってたし。今更猫のフリしなくていいよ。
「さて、猫ちゃん。質問タイムね」
こうして、質問タイムが始まった。