「んで、今に至る」
成る程、元々は人間だったのか、しかも同い年。
「へぇ、死んだんだ」
死ぬ時って痛いよね。まあ、爆発とかは一瞬だから痛くないかもしれないけど。銃は撃たれた場所による。
「ところで、どこを撃たれたの?」
「頭だよ。よく覚えてないけど、多分そうだった」
じゃあ、一瞬だから痛くないね。
良かった。いや、良くないか。
「話も終わったし、帰ろうぜ?なんか誰かに見られてるような気がするんだ」
「幽霊じゃない?この家出るみたいだよ」
「やめろ!それ以上言うな!」
「そんな騒いでると、幽霊さんが集まっちゃうよ?」
「………っ!」
クロが急に黙ってしまった。
「どうしたの?」
クロが見てる方を見てみる。
………ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
こっち見ないで。お願いだから、睨まないで。殺さないで。
「く、クロ…。いい?目を合わせちゃダメだよ。目を合わせちゃ……」
バッチリ目が合う。幽霊と。腰まで伸びた黒髪の女性と。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
全力で走り出す。
そのあと、どうやって家に帰ったかは、覚えてない。



取り敢えず、無事に帰れたからよしとしよう。
私のベットの上で、震えてるのは、勿論クロ。
てか、そこ私のベットだぞ。早くどけよ。いつまで震えてる気だ。情けないなぁ。
「なんか悪口言ってないか?」
「別に?」
と、とぼける。
「ご飯だよー」
一階からママの声がする。
「あ、ご飯だ。行こ、クロ」
「言われなくても!」
一階へ行き、椅子を引いて座る。
クロは、私の座る椅子の横でご飯を待つ。
「はい、どうぞ」
「いただきます!」
「あら?今の声は…」
しまった、って顔をするクロ。
バカだなぁ。
「い、今の声は私の声だよ?」
仕方なく助けてやる。
「でも、あんなに低かった?」
「ちょっと最近声が痛くて………あっ」
クロがのんきにご飯を食べてる。
せっかく助けてやってるのに。
「ホントはクロが喋ったの」
「…………っ!」
クロが慌てる。
ふっふ~ん、のんきにご飯を食べてたからよ。
「バカなこと言ってないで、早く食べちゃって」
ちっ、やっぱそうなるか。
クロの方を見ると、どや顔してる。
あとでお仕置きだわ。
「いただきます」
取り敢えず食べるとしよう。お腹空いたし。

「ほら、クロじっとしてて!」
暴れるクロを押さえつけ、ボディソープでゴシゴシと洗う。
「嫌だぁ!助けて!!」
「そんなに声を出したら、ママにバレるよ?」
「……………っ!!!!」
必死に我慢するクロを見て、少し笑えてくる。
「大丈夫、あとは私に任せて」
嫌だ、と言わんばかりに首を振る。
「ほら、顔こっち向けて」
クロがこっちを向いた瞬間。クロの顔が赤くなった。
「どうした?熱?」
「出る!」
と言ってドアをガリガリする。
「こら!ママに怒られるよ!」
「無理無理無無理無理!!!!ごめんなさい、俺は純粋なんですぅ!もう、無理です!」
何故ここで純粋が出てくるのか分からんが、つまりお風呂が嫌いなんだね。
「分かったから、いったん落ち着こう。取り敢えず、ガリガリするのやめて」
怒られるよ、私が。ママの怖さ知らないだろ。今すぐやめて。
その後、何故か目を閉じて、素直に洗われていた。
目に泡がはいるのが嫌なんだ。まあ、痛いしね。