臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「返し技が自然に出るようになったのは、十二月頃だったと思います」

 続いて森谷が話した時、飯島が付け加えた。

「お前ら、森谷を基準にすんなよ。コイツは二年の中じゃ一番目がいいからな。……確か大崎は二月頃だったよな」

「そうですね。初めて自然に打てた時は嬉しかったですよ。今までの形式練習が無駄じゃなかったってね」


「先生、俺には訊かないんですか?」

 大崎が答えた後、キャプテンの相沢が口を開く。柔軟体操を始めたばかりのようで、汗をタオルで拭きながらやっていた。


「あ、そうか相沢もいたんだよな。……ところでお前はいつ打てるんだろうなぁ」

「あ、飯島先生酷いじゃないですか? 勘が悪い俺も、最近やっと打てるようになんたんスから」


「ブロックしてからの左フックだけだけどな」

 大崎が横から茶化した。