臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「形式練習は、相手の打つパンチを決めて返し技をする練習だからな。普通の実戦練習では、何のパンチがくるか分からないから返し技を狙うのは大変だ」

 有馬を除く一年生達も、理解はしているようである。梅田が話を続けた。

「お前らはまだ返し技を体で覚えていないから、それを狙うと返し技ばかりに集中してしまうんだよ。……高校生の試合は二分三ラウンドだが、お前らはそれを長いと思うか?」

「……短いと思います」

「今、片桐が答えたようにお前ら高校生の試合は短い。だから最初からハイペースな試合が多いんだよ」


 有馬がすぐに質問した。

「ハイペースな試合と返し技は、何か関係があるんですか?」

「ハイペースという事は、パンチの数が多いという事だ。さっきの有馬のように、最初から返し技を狙うと後手に回ってしまう。……それにだ」

 続けて話そうとする梅田を、康平達はずっと見ていた。