臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「実戦になると相手も打ってくるからな。サンドバッグやミット打ちより数段疲れるんだよ。……ところで高田と有馬は、開始から二十秒程黙っていたが、何をしようとしてたんだ?」

「あ、相手の様子を見ようと思ってました」

 飯島に訊かれて康平が答えた。

「有馬もか?」

「……はい」


「ボクシングはぶっちゃけ殴り合う競技だ。自分が殴らなきゃ殴られるんだ」


 飯島に続いて、梅田も二人に言った。

「スパーリングや試合で相手を殴る気が無かったら、その時点で負けなんだよ。分かったか?」

「はい」

 有馬と康平は返事をしたものの、先輩と実力が大きく違っていた事もあって、複雑な心境になっていた。