臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「ちょっと康平ちゃん! まさか女子は入部禁止って事はないでしょうね?」

「……マネージャーを入れない事は言ってたけどな」

「じゃあ部員としてなら入れるのね?」

「……たぶんな。最初の頃、先生が言ってた気がするけど……」

「ちゃんと訊いといてよ。ボクシング部に入れないんじゃ、永山に行く意味が無いからさ」


 康平と弥生の話を聞いていた亜樹が質問した。

「弥生さんは、どうしてそんなにボクシングをしたいの?」

「私、小さい頃から空手をやってんだけど、中学卒業したら、キックとか他の格闘技をやってみたいんだ」

「ボクシングって、パンチだけのスポーツだぜ。蹴りが無いけどいいんかよ?」

「康平ちゃんは、私に入部して欲しくないみたいだね」

「そ、そんな事言ってねぇだろ……!」


 慌てて言い返した康平に、弥生は再びヘッドロックをかました。