「それは張り切らないとね。携帯があればメールも出来るし、何かと便利だからさ。土曜日はケーキバイキングに行くから勉強出来ないにしても、日曜日はビシビシいくわよ。……今日は閉館まで、君の苦手な数学をやっちゃおうか?」

「お、お手柔らかに頼むよ」

 教える気満々の亜樹に矛盾を感じつつ、康平はそう言ってジュースを一気に飲み干した。



 土曜日になり、部活を終えた康平と健太は、駅前のケーキバイキングへ参加した。


 その帰り道、康平と健太、そして麗奈が電車に乗っていた。三人共、同じ中学を卒業しているので降りる駅は一緒である。

 一人分の席が空いていた。康平と健太は苦しそうな表情の麗奈に座らせる。

 麗奈が辛そうに話す。

「もうこれ以上食べられないわ。座っているのもシンドイんだもん」

「麗奈は食い過ぎなんだよ。いくら食べ放題たって、最後は無理して食ってたじゃん」

 健太が吊り輪につかまりながら言った。


「うるさいわね! 全部の種類を食べたかったのよ。店に払った千二百円の倍以上は食べないとね。マジで苦しいから、今はそっとしておいてくれる」

 麗奈はそう言って無言になった。