臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)



 食事が終わり、休憩していた二人だったが、弥生が再び口を開く。

「昨日さぁ、ココに健ちゃん来なかった?」

「あぁ健太か。来たけど用事があるってすぐに帰ったよ」

「やっぱり! 奴は私を避けてんだね」

「そ、そんな事ねーって。たまたま用事を思い出しただけだよ」

「健ちゃんもボクシング部だっけ?」

「……まぁな」

「健ちゃんはお調子者だから、入部した時はちゃんと躾ないとね」

「おいおい、健太は先輩になるんだからさ。入部したら自重するんだぞ」


 ドゴッ!

 弥生は康平の左腕にパンチをかました。

「うるさいわね。ボクシング部だったら、スパーリングもあるんでしょ?」

「そりゃーあるけどさ……! お前、スパーリングもするつもりなのか?」