臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「康平は弥生ちゃんの家で練習してんの?」

「いや、ち、違うんだけどさあ……たまたま店の前でだよ」

 綾香に訊かれた康平は、朝走っている事を内緒にしようと、しどろもどろになった。


 困っている表情の康平を見た亜樹が三人に言った。

「ねぇ、早く出ない? 私も急いで結婚式場に行かないといけないからさ」

「そうね。私は家で食べてくるけど、康平と弥生ちゃんはココで食べるんだよね?」

 綾香に訊かれて康平と弥生は頷き、四人は別行動になった。



 康平と弥生はロビーに弁当を持っていく。

「今日は弁当持ってきたんだな」

「勉強だけでもハラ減るからね。……康平ちゃんはソコ座りなよ。私はココ座るからさ」

 弥生はそう言って、康平の左斜め前に座った。


「随分大きい弁当箱だな。メシは控えなくていいのかよ? 体重気にしてんだろ?」

「ストップ康平ちゃん! ……今日からソコは地雷だからね」