ぶっきらぼうな顔で手招きをしていざなったのは、お店の椅子だった


素直にあたしはそこに座る


「特別な日なんやろ?そんな頭でいくん?」

「へ?」


毎日セミロングの髪の毛をコテで巻くだけだし、いつも通りセットしたつもりなんだけど…


目の前の鏡をみていると、いつの間にかあっくんの器用な手先でフワフワの可愛いあみこみヘアーになっていった

「ひまちゃんおはよー!あきらくんにめっちゃ可愛くしてもらってるやん♡今日卒業式やもんね!!」

そう話しかけてきたのは、ベテラン美容師さんの美和さんだった

美和さんはあたしが小さい頃から働いてて、おねえちゃんみたいな存在なの

「美和さんおはよー♡そーなの!魔法かかっとるみたいやー♪」


「それは、大袈裟やろ」

感動しているあたしに、あっくんは最後のピンを指して頭をポンと叩く


「ほら」

後ろを鏡でみせてくれる

「うわーーーー♡」


ホントに一瞬で魔法がかかったみたいに髪の毛が可愛くなった