「もう追いかけてこれないよ」



「あ、あの、ありがとうございます…本当に本当にっ、こわかった…っ!」



そう言うと一気に泣き始めた。


まあ、色々な感情が混じり合うだろうね。
昨日まで優しかった自分の恋人が本性を表した事での驚き、悲しみ、恐怖に混乱…
っていうかまさか逃げられたのが奇跡とか思ってないよね?
今俺を捕まえることを出来る人はいないのに。






しばらくすると泣き止んだようだ。


それから少ししてマンションに到着。
大空の目はまだ少し赤い。


「本当は送って行きたかったんだけど五十嵐大輝は大空の家知ってるんだよね?しばらく俺の家にいて」


疑問形にしなかったのは大空が遠慮するから、っていうのが半分。
もう半分は俺の側に置いておきたいから…かな。



「そ、そっか!確かにそうですね…ありがとうございます」



そして車を降り、エレベーターへと向かった。