見上げあおうよ




***



移動教室。

1年生の教室のある隣の校舎。



るいくんいないかな、なんて思いながらチラッと1年生の教室のほうを見てみる。



廊下にはあまり人が出ていなくて、その中にもるいくんの姿は見当たらない。




やっぱりいないか、って少しだけ肩がさがる。



階段を降りようとしたとき、下から聞こえてくる男子生徒の声。




まさか、とは思いながらも少しだけ期待しながら階段を降りる。




まさに、そのまさかだった。




朝、聞いたばかりの声が聞こえてくる。




『紗乃先輩。こんにちは』



「こんにちは」



ドキドキするのを抑えて、少しだけ微笑む。