もう落とさないようにねって
私の手元に帰ってきたビン。

「ありがとうございます」
思わず小声になる。

「靴箱の所で君が来るのを
待とうと思ってたのに
もう来てたなんてびっくりだよ」

胸がドクンとなった。
私のために…。嬉しい。

「いつもこのくらいに来てるんです」
なぜか嘘をついてしまった。
素直じゃない自分に腹立つ。
罪悪感。

「じゃあ俺も
このくらいの時間にこようかな
君と話すの楽しかったし」

彼はいつもと同じ優しい笑顔で
朝練行ってくるからまたねって
手を振って行ってしまった。