「ご臨終です」

一人の看護士は、言った。重たい表情を顔に浮かべている。


 彼のまだ若く綺麗な、なだらかな肌の上に、医師は、静かに白いシーツを被せた。

この時、医師は瞳の奥に溜まり混んだ水が溢れ出すまいと、 眉をピクリ、ピクリと動かしていた。

そうして、見ていられなくなった医師は、ご家族達が足を崩し、この子のベッドの上に頭をコツりと下ろし、長いこと涙する姿の真っ黒い影をただ、見つめる事しか出来なかった。

まだ、若い少年を救えなかった事に苛立ちを覚える度、胸の中はヒリヒリと傷んだ。



もう少し出来たことは............あったかも知れない。