「あ、あさひちゃん」





本棚の前に高々と積み上げられている分厚い辞書たち。





「しまうの、手伝ってもらっていい?」





「わかった」





1冊、辞書を手に取ると





「………………猫語辞典?」





猫のシルエットが大きく描かれた、その“猫語辞典”。





「あぁ、それね。結構面白いんだよ」





「こんなのあるんだね、誰が読むんだろ?」





「さぁ?」





裕之君と目を合わせて、思わず笑ってしまう。





「あははははっ」





――――――――好きだな、裕之君の笑った顔。





「じゃあ、こっちにしまっておくね?」





裕之君は、はにかみながらまた新しい本を取った。





こんな穏やかな時間が、いつまでも続けばいいな……





そう、思ってた。