すると大輔が、学ランのポッケに突っ込んでいた左手を出す。 その指先には、包帯が巻かれていた。 「…俺さ…病気なんだ。」 病気…? 「…脳に腫瘍があってよ。その腫瘍が、どんどん転移しててよ。」 そっとその包帯を取る。 思わず、目を疑った。 大輔の指の、親指以外が跡形もなく、無くなっていた。 「なっ……え…?なん、で…」 「腫瘍が転移してよ。全部切断。ここも。」 そして靴を脱ぎ、左の足を私に見せる。 足も同様に、指はなかった。 親指さえもなかった。