七色花火


だからすげえ感謝してたんだ。

それが、俺の思い込みだったと知るまでは。

ある秋のことだった。

自主練をしようと体育館に入ろうとした時だったんだ。

『…ああ、どうして私のことを見てはくれないのですか…私はこんなに…貴方を想っているのに…』

彼女の台詞が聞こえた。

だが、台本にはそんな台詞なんてなかった。

そして、彼女は役に入りすぎたのか泣いていた。

『…ねえ大輔…教えて…』