七色花火


「……悪ぃ……血……つけた……」

「…気にしないで?私も同じA型だし、大丈夫だよ。」

大輔の白い歯が赤く染まる。

その赤は、決して鮮やかな赤ではなくて。

黒が混ざった、どす黒い赤だった。

まるで、バイオハザードのゾンビのような血…

「……今………ピンク……あった…」

「…そうだね。…もうそろそろ終わりかな?」

「………ありがと……う………」

「……え?」

「………何でも………ねえ…」

大輔はからかうように、笑う。

そっと空を見る。

夜空に咲く大輪の花は、私の心に色々なことを思い出させる。

悠貴とキスしたことも。

大輔と笑いあったことも。

一人で泣いたことも。

全部…全部。


バァァァン


一番大きな花火が鳴る。

「…大輔、綺麗だ……ね…?」

そっと話しかけると、大輔は眠っていた。

顔を近付けると、ちゃんと息が聞こえた。

「…帰ろっか。」

私は車イスを押して、病院へと戻った。