七色花火


すると、頬にチュッとキスをされる。

その瞬間、花火が鳴ったのがわかった。

「……だ、大…輔……?」

「…ハハ……一回………やって…みたかった………」

大輔が笑う。

それにつられて、私も微笑む。

今、とても幸せだ。

両想いってわかった時くらい…?

大輔に唇にキスされた時くらい?

ううん。それ以上。

これ以上も無いくらい、幸せ。

「……ハァ……ゲホッ…」

「……大輔…?……これに吐いて?………苦しいね……」

スッと現実に引き戻される。

大輔が血を吐く。

咳が出たときに飛んだ血が、手につくけどそんなのどうでもよかった。

もう、この血を感じることも、見ることも出来ないなら、こうやって手に感じていた方がいい。