私は、その場で手紙を悠貴に手渡す。
椿先輩はぼろぼろ泣いてたし、悠貴も目をうるうるさせてた。
私は大輔の前にしゃがみこむ。
「…アンタはまだ死んだ訳じゃ…ないじゃん……何よ最悪の状況って……」
涙が止まらない。
全ての時間が止まったかのような心情。
本当に大輔が書いたのかって言いたくなるような内容。
そよそよと流れる風が、私の考えを虚しくさせていく。
「…私が好きって言うんだったらさ……目ぇ覚ましてよ…」
大輔が目覚める時を待つことしか出来ない。
喋りたくて、笑いたくて、キスしたくて、悲しくて、大好きで、愛してて。
こんな複雑な感情なのに、口から出る言葉は素直じゃない。
私はこんな私が大嫌い。
もっと素直になれたら
どれだけ人を傷つけなかっただろう。
どれだけ泣かずに済んだだろう。
どれだけ悲しまなかっただろう。
どれだけ『好き』と言えただろう。
後悔しかない私の頭には、大輔の笑顔が浮かんで消える。

