七色花火


話を戻す。

んで、オレはトイレに行きたくなってトイレに行ったと。

そこで偶然、お前に会うなんて思ってもいなかった。

オレが見たのは、『女』のお前だった。

キレイで可愛い浴衣着てよ、髪もセットしてよ、ちっせえ下駄履いてよ。

そこで気付いた。

オレ、なにしてんだって気付いた。

すげえ悲しくなって、お前から目をそらした。

お前の悲しい顔が、今でも脳に焼き付いて離れない。

お前が、オレの中から消えない。

オレは気付いたらお前のことばっか考えてる。

病院にいる今でも、お前との思い出が頭んなかからどんどん出てくる。

そう考えたら、お前に会いたくなって、

すげえお前に会いたくなって、いくらか電話しようとした。

でも、怖くて出来なかった。

全部、オレの中で考えたことが水の泡になっちまうかも知れねえから。

美羽。

オレは、お前が好きだ。

それに気付くのが遅くてごめん。

でも、お前が好きなんだ。

だからお前に病気のことを話すときは、すげえ辛かった。

もしかしたら、美羽はオレをもう見てくれないかもしれない、って思った。

でもお前は、ちゃんと受け止めてくれた。

それだけで、嬉しかった。

本当にありがとう美羽。

本当にありがとう。

オレはお前を忘れない。

永遠に。

牧野大輔