七色花火


「…信愛なる…美羽へ…」

「これを…お前が読んでるってことは…オレはもう永くない…ってことだろう。」

「…美羽。こんな状況の時…だからこそ……オレの本音を……お前に、聞いて…欲しい……」

まず始めに。

突然いなくなって悪かった。

理由なんてわかりきってる。オレは何が何でも、お前に病気のことを知られたくなかった。

オレが病気だってことを知ったら、お前は絶対オレから離れなくなる。

オレはそれが嫌だったんだ。

お前の夢を、壊したくなかったから。

お前は昔から、弱虫のクセに強がりで、馬鹿なクセに人の倍考えて、何より優しいやつだったよな。

決して『女の子』ではなかったと思う。

男に交ざって、サッカーとか野球とかやってたしな。

そんなお前が、オレが唯一女なんだって思えたのは、花火だった。

お前はいつも祭りがあるっつったら、誰よりも早くオレを誘って、オレと一緒に花火を見たよな。

小学1年から、中3までの8年間ずっと。

夏になると、お前と見る花火が結構楽しみだったりした。

お前が目を輝かせて、嬉しそうに話すから、こっちまでキレイだなって言わなきゃいけない気がした。