指の無い手のひらには、舞台で使う剣を握ったタコが出来ていて。
ぎゅっ、と握り返したくなった。
思わずベッドに乗り、大輔を抱きしめる。
すると大輔は、驚いた顔をして私を見る。
だけどすぐに、抱きしめ返してくれる。
けれど、右腕は半分無いし、左手は私を支える感じになってしまっていた。
それを、大輔が腕に力を入れて言う。
「……一度だけでいいから、お前を……ちゃんと抱きしめてやりたかった…」
私が咄嗟に顔を見る。
その目は、涙をためていて。
「…大輔……」
「…一度だけでいいから…お前と手を…繋ぎたかった……一度でいいから……お前と……お前……と……」
大輔の目から、一粒涙がこぼれ落ちる。
そんな顔を見せられて、涙が止まるはずも無くて。
とうとう、声をあげて泣いてしまう。
…本当に、どうしてだろう、と。
どうして大輔が、こんな苦しまなくてはならないのだと。
教えて…誰か、教えて…?
大輔が、何をしたの?
大輔はただ…幸せに生きていただけだった…

