七色花火


「…まさか、最初に会って…泣かれるとは…思わなかった。」

大輔はそう言いながら、私に手招きをする。

元気だった頃の大輔が頭をよぎる。

そっと近くに行くと、大輔は指の無い手のひらで、私の頭を撫でる。

止まったはずの涙が、溢れ出す。

ゆっくり、ゆっくり。

最後のキスを思い出した。

もう大輔に会うと、色々なことを思い返す。

一緒にバカやってた入学したての1年の頃も。

演劇部に入って、何度も大輔の演技で泣いたことも。

笑い合ってた幸せな日々のことも。

そして、最後のキスも。

全部、全部思い出す。

「…泣くなよ……本当、俺はお前を泣かせてばっかだ。」

「…そんなこと…ない。わ…私が勝手に泣いてるだけ……」

「こんな時に強がんなって。……本当、お前は…変わらねえな。」

人のために泣くなよ、と優しく微笑む大輔。