ここで、演技が止まる。

本当なら、カヤトが剣を抜くシーンなのに…

大輔…どうかしたのかな…

「…どうしたカヤト王子。剣を抜かんのか?」

すると、大輔は顔を上げる。

部長の表情が変わった。

もちろん私も。

だって、大輔が泣いてたから。

「え?…ちょっ、カ、カット!!」

私はすぐに大輔に駆け寄る。

「どうしたの大輔!!どこか怪我したの…!?」

「牧野。大丈夫か?大の男がそんなに泣いちまってよ」

すると大輔は鼻水を拭きながら喋る。

「…なんか…カヤトの気持ちになって見たら…すっげえ切なくなって…本当、スイマセン…」

大輔…