香の目を見ると、俺の記憶が走馬灯のように駆け巡る。
…俺を、フッた時の目だった。
「…私が、好きで大輔と別れたと思うの…?…私が、一人の男に恋をしたらどうなるか…悠ちゃんなら知ってるでしょ…」
…あぁ。そうだった。
自分勝手で我儘で。
だけど優しくて可愛くて。
甘えん坊で、弱虫で。
ちょっと馬鹿で、いつも笑ってて。
…香は、そういうやつだった。
きっと俺は…そんな香に惹かれたんだろう。
「…悠ちゃんと別れて、正直後悔した。…大輔の前に付き合った男は、暴力ばっかだった。散々私を殴った後で、ごめんね…ごめんねって……」

