驚いて椅子ごと後ろに倒れそうになった。
こんな時間に教室に来る人なんて、いない。
「ん……誰?」
男子だ、いやだな。
こういう時は…
ガタッ…!
カバンを取り、ケータイは手でしっかり
握り、教室をとびたした。
「…ぉ…、ちょっ…!」
後ろから声がするが、かまわず
廊下をダッシュで走りぬけ、
階段を2段とばしで駆けおりる。
「…っ!!」
急いだあまり、足を滑らせ
階段から転げ落ちてしまった。
と、さっきの男子が追いかけてきて、
私が階段の踊り場で倒れているのをみて、
彼も急いで駆けおりるが、
私と同じように滑り落ちた。
「…ぷっ」
思わず笑ってしまう。
まるでさっきの敵対心などなかったように。

