家に帰ると秋が座っていた





「おかえり…」




無視して部屋に戻ろうとすると秋が私を止めた





「話してよ…瞳を触った手で私に触らないで」





「ゆっくり話をしよう」





「なに?話って今更なに?」




「まだ俺の気持ちの中では梨衣菜もいるんだ」







「そんな言い方じゃ他もいるって感じでしょ?」





「ずっと…好きだった。でも付き合ってから毎日朝から夜まで一緒でそれが当たり前になって…」




秋は私を抱きしめた




前の私だったらもう許してただろう



でも、今は違う




「ごめんね…秋。私、違う人が好きだから…」






「俺じゃ駄目なのか?」





「多分…ううん。駄目」




言い切った




「これからも今まで通りに戻れるかな?俺たち…」






「うん…」





「よかった…」



秋は小さな声で震えているようだった




私はどれだけ幸せなんだろう




こんなに好きでいてくれる人を断って




「もう、寝るね…おやすみ」






「おう、おやすみ」