ガヤガヤと騒がしい教室。
何処からか、挨拶を交わす声が幾つも聞こえる。
私、水無月莉紗はこの夏、この地域に引っ越してして来た。
つまり、知ってる人は愚か、友達すら居ない。
だから、ただただ、体育館へ行くための整列を告げるチャイムをなるのを、椅子に座り俯いて待つだけだ。


「この2学期からこのクラスで生活する、水無月莉紗さんです」
このクラスの担任、語呂祐奈先生の紹介の言葉で、ペコッと頭を下げる。
「…宜しくお願いします」
元から人と話す事、接する事が苦手な私は、蚊の鳴くようなちいさなこえで挨拶をした。
でも、このクラスは耳が良い人が多いのだろうか、私の声を拾い、「お願いしま-す」と普通に挨拶を返す。
「じゃ、水無月さんの席は其処ね」
先生に指指された席に向かう。
席に着くまでの時間がとても長く感じる。
皆の視線が突き刺さる。