*鮫島

「てんちょー!椅子借りていー?」

「おお。いいよ。いいけど羽紗ちゃん、店長には敬語を使いなさい。まったく。」

「はぁーい。」

40近い私にとって羽紗は娘のような存在だ。
可愛らしくて甘えてきてくれて。

「てんちょ、この椅子めっちゃ重い…無理…。16歳だから無理…。」

「あはは…(笑)16とかじゃなくてちびだからだろ?(笑)」

「バカにしてるでしょー。さっきそれで測ったら147cmになってたし!」

「そっかそっか(笑)とりあえず仕事と敬語な。ほれ、いす。」

「どーも。」

羽紗は定時高校に通っている。
理由はいろいろあってそのいろいろはきっと親御さんと私とがっこうの関係者しか知らないのだろう。

羽紗には羽紗なりの悩みがあってそれでも決意した結果が今で、定時高校に通うことで、ここで働くことで、親御さんと離れてここに住むことだったんだと思う。

にしてももうそろそろ新人バイトくんきてもいいころなんだけどなあ…

ガラガラガラ…

「よし、これで終わり…っと…ってうわぁぁぁあ…!」

「っ…羽紗ちゃん?!」

だめだ救急車…!

「…ケガない?」

「は…い。」

何やら今時の男子高校生の動きは素早いようだ。