ある日バイト終わり
あいつが待ち伏せしていた。

私は戸惑ったが素通りした。

腕を掴まれ

「あの日の事…」

と話し始めた。
聞きたくもない。

腕を振り払い自転車に乗ろうとする私の肩を掴み

「ごめん!ほんまにごめん!ちゃんと謝りたかった。やり方だいぶ間違ったけど、ほんまに好きやった」

「今更…もういいですから」

「一也に次目の前に現れたら殺すって殴られてビビってしもて謝りに行けんかった」

そんな事かーくんは一言も言ってなかった

「ほんまに…もういいですから」

「ごめんな…もう来たりせんから」

「はい、そうしてください」


自転車を漕ぎながら
涙が止まらなかった。

本当に好きなら
なんで、なんであんな事…

今更…謝られても

むかつく、悔しい、苦しい
色んな思いが頭の中をグルグル。

気がつくと
3人でよく来た公園にいた。
23時を少し回ったくらい。
なかなか帰ってこないのを心配して
母とかーくんからの着信が鳴りっぱなしだった。

(ちょっと寄り道して帰る)

そうメールした。

ベンチに座りボーっとしていた。
涙が止まったら帰ろう。
明るい顔して帰ろう。
そう決めて立ち上がっては
また涙が出てくる。

0時半
明日も学校やし
そろそろ帰らななぁ…

自転車を押しながら公園を出ようとしたら
息を切らし、汗だくになった
スーツ姿の太一がいた。

「ちょ…ちょっと…まっ…て」

ハァハァ言いながら
私の方へ来る。

「いや…ぁ…これ…タバコ…やめなあかんわ」

そう言ってネクタイを緩めた。

「しんど。人生初の本気ダッシュや(笑)」

「ごめんな…」

太一の頬に触れ私が言うと

「一人で泣くな。俺がおるから」

折れそうなほど抱きしめてくれた。

「帰ろ」

「こんな顔で帰ったら心配かける」

「俺と喧嘩したって事にしとこ」

ありもしない喧嘩の種を考えながら帰った

太一はいつも笑わせてくれる。


それにどれだけ救われてると思う?
私が笑うと嬉しい。太一はそう言う。
太一が笑うと私も嬉しい。

太一と笑い合う時間が大好きで大切。

家に着くと
母とかーくんに2人して説教された。

太一は、ありもしない喧嘩の原因を
かーくんに叱られていた。
2人で笑いを堪えながら謝った。

太一。
あなたがいて
あなたのぬくもりに触れ
愛を知り
私は救われている。

いつまでも永遠に続くと信じたい。