「鈴木くんって、趣味につぎ込むお金はどこから捻出しているの?」
「貯金からだよ?」
「食べるのに困ったりしてないよね……?」
ご飯ならうちで食べればタダである。気を遣わなくて良いからお腹いっぱい食べて欲しい。
ハラハラしながら尋ねると鈴木くんは私の心配の意味が分かったのか、突然ぷっと噴き出した。
「もしかして、借金の心配でもしてくれてるの?」
鈴木くんはフィギュアを玉にしまうと、ニマニマと笑みを浮かべて顔を覗き込んでくる。
(そんなにおかしかったかしら?)
鈴木くんに限ってみれば、余計なお世話だったのかもしれない。
「学生時代に株と投資でひと財産作ったから、お金のことなら大丈夫だよ。日常生活も質素だし。俺って私服もこういう感じだし」
ほらっと、隙あれば雑巾にしたいくらいボロボロのTシャツを見せつけられる。
いつも思うけれど、エリートサラリーマンにあるまじき普段着である。