「そうなんだ。今度私も買ってこようかな……」

「割引券もらったから、佐藤さんにあげるよ」

「ありがと」

「クッキーが気に入ったなら、ケーキも買ってこようか?」

「ケーキかあ……。それも良いわよね」

(太っちゃうのが辛いところだけど)

充実したお茶の時間と体重増加の危機を天秤にかけると、ゆらゆらと不安定に揺れた。

……どうしたものか。

思案しながらもぐもぐと口を動かしている内に、ドラマは本日のクライマックスを迎えていた。

互いの名前を呼びながら抱きしめ合うふたりの表情がアップで映し出される。

関係の進展を匂わせながら、次回の予告へと画面が移り変わる。

毎回毎回良い所で終わってしまうものだから、来週もつい見てしまうわけだ。

制作者側の意図にまんまと嵌っているような気がしてちょっと面白くない。

エンドロールが終わってお茶のお代わりを淹れるべく椅子から立ち上がると、樹がふと思いついたように尋ねてくる。