どうってことないただのラブストーリーなのだけれど、息抜きするにはちょうど良くて、何だかんだ言いながら毎週見てしまっている。

今日は主人公の女性と相手役の初デートが話の中心になっているようだ。

お茶を啜りながら、ぼうっと画面を眺める。お茶のお供は、鈴木くんが買ってきてくれたクッキーだ。

ひとつつまんで口に放り込むとふんわりとバニラの香りが鼻をくすぐる。薄くてサクサクの食感は、一度食べ始めたら手が止まらなくなる美味しさだった。

「鈴木くん、このクッキーどこで買ってきたの?」

「あ、それ?気に入った?本屋の隣に出来たケーキ屋さんで買ったんだよ」

難しい顔で新聞と睨めっこしていた鈴木くんが、紙面から顔を上げて同じくクッキーをつまむ。

新聞なんて四コマ漫画とテレビ欄ぐらいしか用はないのだけれど、鈴木くんはいつも熱心に読んでいて感心してしまう。