3人の寝顔を確認すると、子供部屋の扉をそっと閉める。

リビングでは今頃佐藤さんが“サマーレイン”をひとりで見ているはずだ。

……そう、これからは大人の時間だ。

廊下を歩きながら、ひとりでほくそ笑む。

健やかに育ってくれるのは嬉しいけれど、俺としてはもう少しふたりきりの時間が欲しいのだ。

早苗ちゃんは友達の家に泊まりに行っているし、櫂くんは友達と夜のトレーニングに出掛けて行った。樹くんはバイトで深夜まで帰らない。

またとないチャンスだった。

気を取り直すようにコホンと小さく咳払いをして、テレビを見ている佐藤さんの肩を叩く。

「佐藤さ……」

「きゃあっ!!」

(……え?)

軽く叩いたはずなのに、佐藤さんは悲鳴を上げて飛び上がった。

行き場を失った俺の手を見て、佐藤さんがホッとしたように表情になる。