「佐藤さん、大丈夫だよ。俺は何もかもを受け入れる覚悟はとっくに出来ているから」

……その一言で泣きそうになる。

鈴木くんは私の考えていることなんてとっくにお見通しで。

過去も、未来も。

私の不安すらもすべて受け止めてくれる気なのだと分かってしまった。

「結婚してください」

……本当にいいのかな?

私が鈴木くんにあげられるものは自分自身の他に何もない。

すぐに落ち込んで後ろ向きになるし、素直に甘えられないし、家族優先でデートもろくに行けないし、彼女としてはあまり優秀とは言えない私だけど本当にいいの?

尋ねるように鈴木くんの顔を見上げれば、いいよと言うように見つめ返してくれたような気がした。

私は声を震わせながら意を決して答えるのだった。

「……よろしくお願いします」

次の瞬間、ひたすら沈黙を貫いていた外野からうわっと歓声があがる。

樹が先頭を切って鈴木くんと肩を組む。

「っしゃ!!良かったな、鈴木!!」

「断られたらホントにどうしよかと思ったよ……」

人生における一大イベントを終えた鈴木くんは、緊張した!!と叫んでカーペットに大の字になって寝転がった。