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鈴木くんが帰ったことに気が抜けてしまい、そのあとのことはぼんやりとしか覚えていない。

気が付くと私は自分のベッドであおむけになって寝ていた。

(今……何時……?)

時計を見ると既に深夜の12時を過ぎており、あの衝撃のプロポーズから7時間が経っていた。

家の様子が気になり自室を出てリビングに向かうと、樹がソファに座ってぼんやりとテレビを見ていた。

「少しは落ち着いたか?」

樹は私がいることに気が付くとリモコンでテレビの電源を消した。

「みんなに悪いことしちゃったわね。折角、色々準備していてくれたのに……」

「まあ。事情が事情だからな。早苗が上手いこと誘導したおかげか、陽も恵もひろむも文句ひとつ言わなかったぜ」

「そう、良かった……」

誕生日会の飾りつけがそのままになっているリビングは妙に静かだった。

子供たちの明るい声もいつもせわしなく動かしている家電の音も聞こえない。