「それにしても、金魚ってたくさん種類があるのね……」

パンフレットにも記載されている金魚の種類と色の豊富さには驚くばかりである。

赤、黒、白、オレンジ、茶色。

金魚の色や柄にはどれ一つとして同じものはない。

それがまた、独特の展示物の面白さに拍車をかけていた。

アートアクアリウムとあって、ただ金魚鉢に金魚を入れて飾ってあるだけではなく、金魚達の魅力を引き立てる趣向が凝らしてある。

伝統工芸品とのコラボレーションや本物の金魚を絵柄に見立てた屏風型の水槽は涼やかかつ刺激的で、凡人にはないイマジネーションには感心させられる。

こころなしか、金魚達も嬉しそうに泳いでいる。

「ねえ、この子。鈴木くんにちょっと似てない?」

こうして一匹一匹をよく見てみると、なかなか味わい深い顔をしているではないか。