「ワンピースもサイズがぴったりで良かったです。でも、2センチくらい裾上げだけしちゃいましょうか。ウエストもちょっとだけ詰めちゃえ!!」

さすが手芸部だけのことはあってレミちゃんは素晴らしい手つきで針と糸を操り、既製品のワンピースをジャストサイズに手直ししていく。

ベージュのフレアワンピースは樹からのプレゼントだ。

今朝方、ほいっとそっけなく手渡されたわけだが、中身に関しては事前に早苗と示し合わせていたのだろう。

……それにしてもドレッサーの前に座っているだけで上へ下へと世話を焼いてもらえるなんて、ちょっと申し訳ない気もする。

しかし、それを早苗に正直に伝えるのは野暮というもの。

「髪はアップにしましょうか。折角だからうなじも出しちゃう?」

ブラシで私の髪を梳かしている早苗はまるで自分のことのように楽しそうで、レミちゃんとユイカちゃんと一緒に色々計画してくれたんだろうなと思うと、ここは大人しく従うべきだと感じた。

「このバレッタは私からの誕生日プレゼントよ」

編み込みでアップにされた髪には早苗が選んだ蝶々型のバレッタが取り付けられる。

総仕上げとして最後にブレスレットとイヤリングを身に着けると、完成の一声が掛けられる

「大成功っ!!」

一仕事終えた3人は互いの職人芸を称え合い、ハイタッチを交わしていた。